0. はじめに
以前、治安のよいトーランス(ロサンゼルス)で銃撃事件! 凶悪な事件に巻き込まれないためにという記事を書きました。
トーランスはロサンゼルスより30分くらい南に位置しており、比較的治安の良い地域として知られています。
また、少し前まではトヨタの米国法人の本社がありましたし、ホンダ自動車の米国本社はまだまだトーランスにあります。
そんなわけで、トーランスというのは日系企業が集まり、自然と日本人コミュニティが発達している都市なので、これからトーランス近辺へ駐在予定、という人も多いのではないかと思います。
そして、トーランスに住む日本人のあいだで、「絶対に行くな」と言われるほど悪名の高い都市が「コンプトン(compton)」と「イングルウッド(Inglewood)」です。
まあ、ここ南カリフォルニアに住む人にとっては日本人とかアメリカ人とか関係なく、割と一般的に言われていることなのですが。
今日は、そのコンプトンとイングルウッドって、「そんなにヤバいところなのか?」というのを確認しに行ってみたので、その感想を書いてみたいと思います。
危険地域に足を踏み入れることは絶対にお勧めしません!
良い子は真似しないようにしましょう。危険エリア散策は自己責任で。
アメリカ生活は過酷だと分かっていても、それでもアメリカにチャレンジしてみたいというあなたのために、エンジニアのアメリカ進出・移住を応援するシリーズを始めました。
このシリーズを読んで、本当にアメリカで良いのかどうか、良く検討してみてください!
1. 準備
ワラゴンは、どちらかというと生粋のいい子ちゃんで過ごしてきたので、これまでそういった危険地域と呼ばれるところに、わざわざ足を運ぶということはありませんでした。
なので、今回の旅は、ちょっとした冒険のような、むしろ、まるで戦地に赴くような気持ちでした。
もう、いつ襲われるか分からないという恐怖があるので、持っていくものは最小限です。
具体的にはスマホ、免許証、クレジットカードです。
財布は持っていきません。
免許証とクレジットカードだけをズボンの後ろポケットに入れておきます。
だってほら、目に見えるように持ち歩いてると、かつあげとかされそうじゃないですか。
悪の巣窟に向かうんです。
このくらい準備しておくのは当然です。
あとは、万が一、強盗か何かに襲われる事を想定して、対抗できるようなものを持参しようかとも思いましたが、包丁とかは物騒なのでやめておきました。
それならせめて防御力を高めようと思いました。
ヘルメットをかぶろうかとも思いましたが、うちにはヘルメットがなかったので諦めました。
その代わり、普段よりも重ね着をした上に、真冬用の少し厚手のジャケットで防御力アップして行くことにしました。
最近、寒い日が続いていたのでちょうどよかったです。
また、嫁と娘がお出かけしている最中の出発だったので、万が一のために遺書を書いておこうかと思いましたが、面倒だったのでやめました。
持って行く物の準備ができたら、次は心の準備です。
何度も言いますが、暗黒世界に足を踏み入れるんです。
いつ襲われるか分かったものではありません。
いきなり横から銃で頭を撃ち抜かれるという光景も頭をよぎりましたが、それが起こったらもう仕方がないと思う事で忘れることにしました。
また、こんな危険地域なのですから、写真など撮ろうものならちょっと頭のおかしな人がいきなり殴りかかってくる恐れがあります。
なので、写真を撮る時は、なるべく人がいないところで、できる限り最小限の動作で、誰にも悟られないように撮影する必要があります。
これは、スマホのカメラを起動するためのショートカット(電源ボタンのダブルクリック)操作を、5分ほど練習しておくことで解決しました。
準備をあれこれ考えていたら日が暮れてしまう、ということに気が付いたので、昼の12時頃にようやく出発することにしました。
1. コンプトン(Compton)
まずはコンプトン。
コンプトンは、ひと昔前は黒人が多く住む町として有名でした。
今でこそヒスパニック系の方が人口比率が高くなっていますが、依然としてヒスパニック系と黒人系が人口の大部分を占めています。
そして、残念なことではありますが、このような都市においては、低所得者層の比率が多く、犯罪の発生率も高くなる傾向がある事は事実です。
それではコンプトンの場所を確認しておきましょう。
地図上で見ると、トーランスからは少し離れているように見えますが、トーランスとコンプトンの間にはガーデナ(Gardena)という都市があり、ガーデナもまた日本人が多く住む地域となっています。
ガーデナにも日系スーパーやレストランはたくさんあるので、ガーデナあたりに買い物に行くなんてことは日常茶飯事です。
そうすると、「ちょっと道に迷ったら気付かずに迷い込んでしまう」レベルのエリアに位置しています。
それではコンプトンで撮ってきた写真を見てみましょう。
比較的大きな道路沿いなので、それほど暗黒感は漂っていません。
せいぜい、道路の舗装が少し悪いな、くらいのものです。
むしろ、カリフォルニアの青い空が清々しくて気持ちいいくらいです。
もう少し邪悪な気配が漂う所を探してみます。
、、、
うーん。
なんか、思ったほどおぞましい感じがしません。
「なんだ、コンプトンはこんなものか」と諦めていたその時、、、、
これは、
こわい。
昼間だというのに、あの店に入ろうという勇気が全く出てきません。
あの中に入ったら、禍々しい念のオーラに押し潰されてしまう気さえします。
この落書きはラッパー?
なぜ緑色?
魔貫○殺砲とか繰り出すの!?
斬新過ぎて脳の理解がついて行かないレベルです。
さ、さすがコンプトン、、、
コンプトンでの写真はこれが最後になりますが、最後の最後になかなか面白い写真を撮ることができました。
さて、これだけではつまらないので、写真では伝えられない部分についての感想も書いてみたいと思います。
・街の雰囲気
まず、全体的に道路の舗装状態は良くない感じがします。
汚ならしい家屋の割合も若干多いかな?という感じもあります。
ただ、もっと何というか、邪悪な空気が漂っているのを想像していましたが、まあ、よく考えたらそんなわけありません。
道行く人はやっぱりヒスパニック系と黒人の人が圧倒的に多く、今回の旅では白人やアジア人が歩いているのを見ることはありませんでした。
・車の運転が乱暴
車の運転マナーも乱暴だと感じさせる点がいくつもありました。
例えば、クラクションを鳴らされる頻度。
普段、クラクションの音を聞くのって、そんなに多くないのですが、今回の30分足らずの散策の間に3回くらいクラクションが鳴らされるのを耳にしました。
街中を走行する人が必ずしもコンプトン住民というわけではないはずですが、あからさまに短気な人が多い印象です。
そして「コンプトンこわっ」と思わせる出来事がもう一つありました。
大きな道路を走行中、信号が赤になったので一番右側を走行していた私は普通に停車しました。
すると、右後ろから何やらタイヤの滑る大きな音が。
その音の方向に目を向けると、マクドナルドの駐車場の敷地内を、ピックアップトラックがすごいスピードで走り去っていくのが見えました。
おそらく駐車場を使って右折ショートカットをしたのでしょう。
タイヤの滑る音が聞こえるくらいだったので、かなりアクセルを踏み込んでいたはずです。
子供が飛び出して来たら確実に対応できない速度です。
小さな出来事ですが、「ああ、やっぱりここで子供を育てるのはヤだな」と心底思う一幕でした。
2. イングルウッド(Inglewood)
次にイングルウッドです。
ここは、2014年に吉野家で日本人男性が銃殺されたという事件が起きたことで有名です。
治安の悪い地域としてはコンプトンの方が有名なのかもしれませんが、イングルウッドもしばしば危険と言われる地域です。
まずは地図で場所を確認しましょう。
トーランスからだと、北上してI-105というフリーウェイを過ぎたエリアになります。
その間にあるホーソン(Hawthorne)というエリアも、そんなに良い場所ではないので気をつけておいてください。
それでは、街中で撮ってきた写真を紹介します。
こちらも、大きな通りを走る分には特に目立った危険オーラは感じません。
(コンプトンで感覚がマヒした可能性はありますが、、、、)
もう少し走ってみると、ここでもボロボロの家や鉄格子窓を確認することができました。
こちらも、昼間だったので特に身の危険を感じるようなことはありませんでした。
全体的にマイルドなゲットーという印象です。
3. まとめ
怖い怖いと言われるコンプトンとイングルウッド。
私も初めてじっくり散策してみたわけですが、今回の旅の感想を簡単にまとめてみます。
[コンプトン]
・ヒスパニック系と黒人が多い
・道路の舗装状態が悪い
・運転が乱暴
・汚ならしい建物が(少し)多い
・鉄格子窓の家がある
[イングルウッド]
・大通り沿いでの見た目は割と普通
・汚ならしい建物が(少し)多い
・鉄格子窓の家がある
総合するとコンプトンもイングルウッドも「昼間なら大丈夫かな」という結果となります。
コンプトンもイングルウッドも見た目で言えば、トーランスの優良地域に比べれば明らかに悪いのは確かです。
しかし、ロサンゼルス周辺自体が全体的に治安も景観も良くないことを考えれば、極端に悪いレベルではないと思います。
少し拍子抜けした感はありました。
午後から気温が急上昇したので、防御力を高めるために厚着をした事が裏目に出ました。
まあ、当たり前なのですが、一般の人間が普通に暮らしている街です。
そんな、日中少し外を歩いただけで犯罪に巻き込まれるなんてことはありません。
むろん、邪悪なオーラなど漂っていません。
確かに見た目「ちょっと危険地帯か?!」と思わせる雰囲気を持っていますが、個人的には「同レベルのエリアは他にもいっぱいある」と思います。
それこそトーランス周辺においても、見た目少しヤバそうなところはいくらでもあります。
そのようなエリアでは、落書きも頻繁に目にします。
先に紹介したコンプトンの緑ラッパーの落書きにしても、それは単に造形が斬新なだけで、落書き自体はどこにでもあるものです。
極端な話、落書きならうちの近くにもたくさんあります(´;ω;`)
両都市について、少しポジティブな意見を書きましたが、あくまで「昼間なら」の話です。
コンプトンのCrime Rate(犯罪率)も、ここ十年でかなり改善しているようですが、夜は言うまでもなく出歩くべきではないでしょう。
コンプトンやイングルウッドに限らず、アメリカで生活する上では夜出歩くのは最小限にするのが鉄則です。
なので、この記事を見て、「なんだ、コンプトンもイングルウッドも大丈夫なんだー」なんて思わないようにしてくださいね。
たとえ昼間であっても、興味本位でこれらのエリアに近づくことはないようにしましょう。