0. はじめに
アメリカへの留学・就職・移住について計画を立てる前に、アメリカへの進出方法にはどんなものがあるのか、それぞれのメリットデメリットは何なのかを知っておきましょう。
アメリカへの進出方法は大きく分けて留学か就職(または起業)がありますが、それぞれ見ていきましょう。
アメリカに長期滞在する場合、一般的には皆さん何かしらのビザを取得する必要があります。
ビザの種類には何種類かあり、それぞれ取得の難易度や、有効期限、就労可能かどうかといった点で特徴が異なりますので、その辺の制約も踏まえて説明したいと思います。
エンジニアのアメリカ進出まとめページ
1. 留学(語学学校・短大への留学)
アメリカへの進出の第一歩として最も一般的かつハードルが低いのが、留学です。
金さえあれば何とかなります。
このシリーズでは、主に日本で既に職務経験があるエンジニアさん向けに記事を書いているので、ある程度予算がある人も多いのではないでしょうか。
そして、一般にアメリカに留学するときに必要なビザはF-1ビザになります。
F-1ビザの難点は、何といっても「アメリカ国内で収入を得ることができない」という点です。
まぁ、勉強しに来ているから当たり前と言えば当たり前なのですが、ある程度予算があると言っても、収入が全くなくなるというのは結構きついと思います。
アメリカでもどの州に留学するかによって、その予算は変わってきますが、どのような場所でも十分な予算を確保しておくことが最重要課題となります。
また、一口に留学と言っても、語学だけを専門に教える語学学校に通うのか、または現地の大学(特にコミュニティ・カレッジ)に入学するかによってその後の進路の幅が変わってきます。
特に、「とりあえず1年アメリカに住んでみて、気に入ったらもう少し長く滞在できる道を探すかー」くらいの気持ちで留学を考えている人(まさに自分!)は、少し注意が必要です。
というのも、できるだけ長くアメリカに滞在するには、「お金を節約する事」と「ビザを維持する事」が必要になります。
まず、お金の面で言うと、語学学校に通うよりは現地の大学(特にコミュニティ・カレッジ)に入学する方が授業料がずっと安いと言えます。
語学学校では、かなり安いところでも年間$10,000は覚悟しなければならないところが、コミュニティ・カレッジなら多めに見積もっても$6,000 - $8,000くらいで済むと思われます(授業料だけの金額です)。
(具体的な数字に関しては、ちょっと自信がないので別記事で詳細調査して報告します!)
また、ビザの面でもコミュニティ・カレッジに入学する方が得策だと思います。
コミュニティカレッジなら、理想的に行けば約2年で卒業できます。
学校を卒業すると、F-1ビザにOPTという特別な特権が付与されます。
OPTとは、Optional Practical Trainingの頭文字から来ており、卒業後1年間のみ企業で働いてもイイよ、という特権期間です。
要はF-1ビザが1年延長できて、さらにインターンとして収入を得ることができるという事です。
多くの留学生は、このOPT期間中に企業に就職し、そこからH1Bをサポートしてもらう、という進路を取っています。
・四年制大学卒業レベルの知識を必要とする職務に与えられるビザ
・多くのIT企業が海外のエンジニアを採用するために利用されている
・年間の発行数が決まっていて、例年抽選による振り落としがある(これが痛い!)
・有効期限は最初は3年、のちに1回の更新ができて、プラス3年の合計6年
・配偶者は収入を得ることができない
私もその一人でした。
ただただ語学学校に行くだけではOPTの権利は取得できないので、結局金の切れ目が縁の切れ目となってしまうわけです。
とはいっても、OPTの権利を取得するには学校を卒業する必要があります。
学校を卒業というと、少し大げさな話に聞こえますが、条件が揃っていればそうでもありません。
そのあたりは別の記事で触れたいと思います。
OPT留学生とITエンジニア必見!2019年4月からH-1Bビザの抽選方式が変わる!
2. アメリカへの就職・異動
次に、アメリカへ進出する主な方法としては、いきなりアメリカの企業で働いてしまうという方法があります。
このブログを読んでいる皆さんは、もしかするとIT業界に勤めてらっしゃる方が多いのではと思います。
そこで、まず一番初めに検討したいのは、今勤めている会社で、アメリカで働けるポジションはないか、上司に相談してみることです。
まぁ、勇気いりますよね。
そんな勇気があるくらいの人なら悶々とこんなブログを読み漁ったりしないでしょう。
でも、最終的に今の会社を辞めて留学なり海外就職なりを考えているなら、ダメ元で聞いてみるというのはアリかもしれません。
万が一、アメリカにポジションがあるというのなら、逃す手はありません。
この場合、おそらくL1ビザが支給されると思います。
L1は管理職レベルか、特殊技能保持者のみに与えられるビザで、一見難しそうに聞こえますがそのあたりは会社の方でうまいことやってくれると思います。
L1ビザは管理職レベルの場合最長7年、特殊技能保持者の場合は最長5年しか滞在することができません。
しかし、渡米から1年後にグリーンカードを申請することが可能です。
まぁ、会社との都合もあると思いますが、アメリカ生活が気に入ったなら、ビザが切れる前にグリーンカードへの切り替えを会社と相談するようにしましょう。
さらに、2019年の現時点ではL1ビザの配偶者は、EADという労働許可証を別途申請することで、アメリカで合法的に就労することができます(素晴らしい!)。
というわけで、L1ビザでアメリカに滞在できるのであればそれが最善なのです。
とは言っても、そんな都合よくアメリカ駐在のポジションがある状況も少ないと思います。
そうなると、次の候補となるのはやっぱり就職(転職)となります。
アメリカの企業に飛び込んでみますか?いやいや、、このブログを読んでいるであろうエンジニアさんは、きっと英語に自信なんてないと思います。
私だってそうでした。物には順序ってもんがあります。
いきなりアメリカの企業に就職して、アメリカ人の中で仕事なんて、想像もできません。
というかその前に、面接の日取りを決めるやり取りの時点で落とされます。
なので、当たり前ですがアメリカに進出している日系企業をターゲットにします。
ほとんどの大手転職サイトで海外勤務の求人があると思いますので、それらを試してみるのも良いと思います。
ただ、少し覗いてみた感じだと、アメリカの求人の取り扱いはどうしても少ない印象があります。
なので、アメリカに根差した就職エージェントにも登録しておくのがおすすめです。
具体的には私もお世話になったびびなび、Actus、インタープレイス, インテレッセといったところでしょうか。
(この辺りは別記事で少し書きたいと思いますが、、、)
ここで、アメリカ在住の日系企業への就職を目指す場合、どのようなビザが支給されるかに注意しましょう。
中小企業だと、J1、つまりインターンのビザしかサポートできない、という所も多いと思います。
J1ビザの場合、最長でも1年と半年しかアメリカに滞在することができません。
取得が簡単な分、かなり制約とデメリットが多いビザです。
まず、J1ビザでの採用は多くの場合、給料がとっても安いです。
というか、在米の中小の日系企業では、日本で経験のある人材をJ1ビザ(=安い賃金)で獲得しようと必死になっている所も多いものです。
ひどい場合は$1,000/月、かなり良くて$2,000/月くらいとみていいと思います。
地域にもよりますが、この程度の収入では本当に暮らしていくのが大変です。
中には貯金を切り崩して生活している人もいました。
ですので、J1ビザでの就職は、本当に最後の手段として考えておきましょう。
運が良ければE1をサポートしてくれる会社を見つけることも可能だと思います。
E1はL1と同じようなビザなのですが、基本的には半永久的に更新することができる優れものです。
また、グリーンカードの申請もできるため、契約前にそのような前例があるかどうか、会社に聞いてみるのも良いと思います。
E1ビザの配偶者は、L1の配偶者と同じようにEADという労働許可証を申請することが可能です。
在米の日系企業に就職する際に気を付けたいことは、英語の勉強になるかどうかは?という点です。
日系企業にもいろいろあり、職場のほとんどが日本人の場合と、逆にほとんどがアメリカ人の場合、割合が半々くらいの場合とあります。
当然、日本人主体の職場の場合、オフィスで英語を使うことがないため、なかなか英語の練習にならないといったケースがあります。
その分、プライベートで積極的に現地の人たちと交流を深めるような活動ができるように、モチベーションを維持することも大切になってきます。
3. まとめ
総じて、まずは留学するほうが簡単ですが、その先は長く険しいです。
ただ、一度学生に戻って若い他国の留学生たちと交友を持つ、というのも非常に新鮮な体験ができることは間違いありません。
勉強は大変で、お金もなく苦労すると思いますが、良い思い出になると思います。
ただ、家族のある人には絶対にお勧めしません、、、
一方、就職あるいは駐在のような方法を取れる人はかなり限られていると思います。
しかし、L1またはE1で移住できるのであれば、永住への道がとても近くなります。
また、配偶者も収入を得ることができるので、割と良い生活を送れる可能性が高いです。
ただし、J1ビザでの就職だけは注意が必要です。家族持ちには絶対におすすめしません。
以上、アメリカに進出するための一般的な方法について説明してみました。
アメリカに移住する方法はまだほかにもありますが、それはまた別の機会にしたいと思います。
こんな記事でも誰かのお役に立てば幸いです。