0. はじめに
前回の記事で、アメリカへ留学するにあたって、英検を使って短大に入学することができることを紹介しました。
繰り返しになってしまいますが、ほんの少しでもアメリカに移住する可能性を考えている場合は、絶対に短大に入学してしまった方がお得だというお話です。
エンジニアのアメリカ進出・移住を応援するシリーズ
その理由は以下の記事を参考にして頂きたいのですが、最大の理由は短大卒業後に就職でき、その後H1BなりE1ビザを取得できる可能性があることです。
運良くE1ビザが取得できれば、事実上、その会社に勤めている限り無期限にビザを延長することができます。H1Bだとしても、少なくとも3年、さらに3年の延長ができるので最大6年は合法的にアメリカに滞在することができます。
さらに、前回の記事でも書いた通り、アメリカの短大へ入学する上で障壁となりそうな英語力も、英検を使ってクリアすることができそうです。なので、わざわざ高いお金を払って学生のレベルの低い語学学校に通うメリットなどないのです。
そんなわけで、アメリカの短大へ留学する場合、学校選びの際に注意したいポイントについてお話してみたいと思います。
1. 専攻・学部
アメリカの大学を選ぶにあたって、専攻・学部はかなり慎重に選ぶ必要があります。
アメリカでの就職や定住移住を少しでも視野に入れている場合は特に重要です。
理由は以下の2点になります。
・最短で卒業できる
・H1Bの取得可否に影響する
ひとつずつ見ていきましょう。
まず、最短で卒業できる、という点です。
というのも、アメリカでの長期滞在をするためには、どうしても就職して収入を得ることが不可欠になってきます。しかし基本的に留学生は法律的な理由から収入を得ることができません。
なので、学校に通う期間を極力するなくすることが重要になってきます。
早く短大を卒業する事ができれば、OPTの権利を取得して企業への就職という道が見えてきます。
そして、短大を早く卒業するために、日本の大学で取得した単位をアメリカの短大に移行するという裏技を使います。
私の場合、一般教養はほとんど移行することができました。
また、日本の大学で電子回路基礎のような単位を取得していたので、これもうまいことアメリカの短大の専門分野に適用することができました。
このように、日本の大学で専攻した分野と関連の高い分野で専攻を選ぶことが、最短卒業につながるのです。
次に重要な点が、アメリカの大学で専攻した分野が、その後のH1Bビザの取得可否に大きく影響する、ということが挙げられます。
H1Bビザというのは、特定の分野で四年制大学卒業レベルまたはそれと同等の実務レベルを持っている人に発給される就労ビザです。
このビザは、就職先の企業にスポンサーになってもらう必要があります。
そして、申請をするにあたってその会社での職務内容と、大学の専攻が関連していることを証明する必要があります。
ですので、最も望ましいのは、以下の4つが全て関連がある状態です。
・日本の大学の専攻
・日本の企業での職務経験
・アメリカの大学の専攻
・アメリカで採用された会社でのポジション
しかし、全てをそろえなくてもH1Bの取得は可能な場合があります。
これは、私の例なのですが、私は日本の大学では自然科学という学科を卒業しました。
自然科学というと、主に物理や化学、電磁気学といった内容なので、あまりITとは関連がありません。
さらに、アメリカの短大ではComputer Science、つまり情報科学を専攻しました。これは当時採用されたポジションとばっちり一致します。
このような場合、四年制大学の専攻内容はいまいち関連が低かったのですが、短大のComputer Scienceの卒業と日本のIT企業での職務経験(約6年)という経歴が総合的に判断されて、無事にH1Bを取得することができたのではないかと思います。
日本のIT企業に勤めている人って、意外と文系出身の人も多いのではないかと思います。
そんな場合でも、アメリカの短大での専攻と、ITでの職務経験が十分にあればH1Bの取得条件を満たすことができると思います。
逆に言えば、アメリカで専攻する内容は、やはりITに関連したものが望ましいという結論になります。
OPT留学生とITエンジニア必見!2019年4月からH-1Bビザの抽選方式が変わる!
2. 学費
学費も重要な要素です。
留学中は、収入を得ることができないので、なるべく学費を抑える必要があります。
英検の学校検索ページでは、各学校のWebページへのリンクがあるので、そこで1単位あたりの学費を調べてみると良いでしょう。
アメリカ:英検認定校検索 | 英検 | 日本英語検定協会
英語のページになるので、結構大変だと思いますが、「Tuition」と「Out-of-state」のような言葉を探してみて下さい。
Tuitionとはそのまま授業料のことですね。
Non-State-Residentについてですが、州内に住んでいるかそうでないかで授業料が大きく異なるためです。
例えば、カリフォルニアの短大であれば、カリフォルニア在住の学生(In-stateとかCalifornia residentsとか表記される)に対しては、授業料は圧倒的に安くなります。
一方で、一般的に留学生は外国から来るので州外から(Out-of-stateとか表記される)とみなされます。
カリフォルニア周辺の短大ならOut-of-stateの学生でおよそ1単位あたり$250 - $350が相場だと思います。
ちなみに、「その州に住むんだから、In-stateとみなされないの?」という疑問はあると思います。
結論から言うと、みなされません。
これは、In-stateとみなされるためには、例えば親がカリフォルニア州の税金を払っており、6か月以上カリフォルニアに滞在しているとかいう要件を満たす必要があるためです。
3. ロケーション
次に学校の場所を検討しましょう。
場所と一口に言っても、アメリカは広すぎるのでどこから考えていいか分かりません。
しかも、このシリーズでは英検を使って留学することをおススメしているので、学校の選択肢には制限があります。
ただ、この連載ではIT戦士たちを対象にしているので、特にこだわりがないのであればカリフォルニアがいいのではないかなと思います。
学校の選択肢も多いですし、気候は申し分ありません。日本に近いので、帰国の際の飛行機代も安めです。色んな人種がいるので、偏見も比較的少ないと思います。
カリフォルニアと言っても大きく分けてサンフランシスコやシリコンバレーがある北部か、ロサンゼルスがある南部か、さらに南部のサンディエゴにするか、という選択肢が出てきます。
ここからは、お目当ての学校との兼ね合いになるのではないかと思います。
一点注意すべき点としては、サンフランシスコ周辺は家賃が異常に高い事です。
うまくいって就職できたとしても、一人暮らしをするためには月$3,000という家賃を覚悟しなければなりません。
カリフォルニアは全体的に、家賃が高いというデメリットがありますが、この中でもサンフランシスコやシリコンバレーの家賃は異常というほかありません。。。
ちなみに、田舎の方が日本人がいないから英語が身につくという意見もあります。
これは半分本当、半分眉唾と考えています。
私はごく短い間でしたが、仕事でオハイオ州に住んでいたことがあるのですが、確かにロサンゼルス周辺に比べるとフレンドリーな人が比較的多かったと思います。
特に、アパートの受付のお姉さんは笑顔が可愛らしく、とても親切に対応してくれたのを覚えています。
しかし、別にご近所さんとプライベートで交流するわけでもなかったので、田舎というロケーションが英語上達の助けになったという実感はありません。
つまり、英語を上達させるためのキーは、田舎とか都会とかということではなく、どれだけ英語でコミュニケーションを取る相手を作るか、にかかっていると考えています。
私は10年アメリカに住んでいますが、いまだにスタバでコーヒー注文するのにドキドキするレベルです。
こんな風になってしまった原因は、やっぱり積極的に友達を作ってこなかったことにあるのかなーなんて思っています。
このように、英語を上達させたいなら、田舎とか都会とか関係なく、積極的に友達を作ることを最優先に考えるべきなのです。
4. まとめ
いかがでしたでしょうか。
海外留学は、プランを立てるのに色んな下調べが必要になります。
アメリカの大学に留学して、将来的にアメリカに永住なんてことも視野に入れているなら、学校選びは慎重に行った方がよいでしょう。
そんなITエンジニアの皆さんに、この記事が少しでもお役に立てば幸いです。