エンジニアのアメリカ進出 ビザの話

【まとめ】一般人がアメリカに移住するための主要なビザの種類

投稿日:2019-05-26 更新日:

0. はじめに

こんにちは。ワラゴンです。

アメリカに移住するにあたって、ビザは誰もが通る最初の難関です。

今日は、ビザの種類と特徴を簡単にまとめてみたいと思います。

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エンジニアのアメリカ進出・移住を応援するシリーズ

1. 一般人が取得できる可能性があるビザはおよそ5種類

アメリカに移住するためのビザはたくさんの種類がありますが、我々一般人が取得できる可能性があるビザの種類はたったの5つです。

F-1・・・学生ビザ
J-1・・・インターン用ビザ
H1-B・・・専門職用のビザ
L-1・・・駐在員用ビザ
E-1・・・貿易駐在員ビザ

こうしてみると、そんなに選択肢ってないですね。

アメリカへの移住・永住を成功させるには、アメリカ国内で収入を得ることが不可欠です。

しかし、最も取得が簡単なF-1ビザ(学生ビザ)では、収入を得ることができないことに注意しましょう。

アメリカで収入を得るには、それ以外のビザを取る必要がありますが、それぞれそんなに簡単なことではないので、それなりの覚悟を持って臨みましょう。

 

2. F-1ビザ:アメリカ入門の登竜門

■概要
F-1ビザは、一般的に学生ビザと呼ばれているものです。
アメリカに留学する場合は、語学学校であっても大学院であってもこのビザを取得することになります。
多くの人はこのビザでアメリカに留学し、そこから次のビザへのつなぎにしています。

■難易度
難易度はかなり低いです。
大使館での面接はありますが、一般的に審査は難しくありません。

■特徴
・申請するにあたって、留学先の学校からI-20という入学許可証を発行してもらう
基本的には収入を得ることができない
・CPTプログラムによって収入を得ることができる(場合がある)
学校卒業後、1年間のOPT期間が与えられ、インターンとして収入を得ることができる
・配偶者ももちろん労働できない
・有効期限は最大5年

■コメント

学生ビザの最大のネックは収入を得ることができないことですが、実は一定の条件で労働可能な場合があります

ここではあまり詳しく書きませんが、例えば大学のカフェテリアで働く、などです。

きちんと所定の手続きを踏めば、普通にアルバイトできますが、そもそも競争率が高いのと、週に働ける時間が20hまでに限られていたりします。

また、CPTというプログラムがあり、事前に一般企業に採用される必要があるのですが、こちらも所定の手続きを踏めば、普通の企業で働くことができます。

ワラゴンもCPTで就職先を見つけて小銭を稼ぎました。

こちらも週20hの制限がありましたが、月々$800くらいもらえていたのでずいぶん助けにはなりました。

 

3. J-1ビザ:とりあえずアメリカで働くための最終手段

■概要
俗にいうインターン用のビザです。
このビザを申請する人たちというのは、日本で社会人経験があり、アメリカで働いてみたいという人が多いと思います。
アメリカで働くことはできるが、一般に給料は激安なので、できれば避けて通りたい道。

■難易度
事前に企業に採用される必要がありますが、日本での経験があれば難易度は決して高くないでしょう。

企業の側から見ると、劇的に安い労働力なので、使えればラッキー、使えなくてもまあ1年の辛抱か。くらいの位置づけでしかないので、よけいに簡単です。

■特徴
・一般的にはJ-1ビザ取得をサポートしてくれるエージェントを通す
・他のビザへの切り替えが難しい(今はほとんど無理だと思います)
給料は激安
配偶者も特定の手続きを踏めば働くことができる
・有効期限は1年。6か月延長可能なので、最大1年と6か月

■コメント
私はJ-1ビザに関して、ほとんど良い印象を持っていません。

以前、ワラゴンが在籍していた会社では、このビザで入社してくる人が結構いました。

彼らはみな、アメリカで働きたいという夢を叶えるため、仕方なく安い労働力で働いています。

多くの場合、J-1ビザで入社してくる人の給料はおよそ$2,000くらいです。

私の会社も、日本での経験がある人を採用する場合はそのくらいで採用していたようです。

私が知る最も悲惨な人は、給料が月900ドルだと嘆いていました、、、

ほんと!?って3回くらい聞き直した覚えがあります。

当時、最低賃金は時給10ドルくらいでしたが、この場合は時給に換算すると約5ドルです。

もちろん、そんな給料で生計を立てることはできないので、彼は貯金を切り崩しながら生活していたようです。

そんな極端な例は少ないにしても、J-1ビザで簡単にアメリカで働けるとはいうものの、その先の生活は地獄、というのを覚悟したほうが良いです。

そういった理由から、私はJ-1で渡米してくるのは最後の最後の最終手段にするべきと思います。

 

1点だけJ-1ビザの良いところは、一定の条件を満たすことができれば、配偶者も働くことが可能という点です(すごい)。

ここでは詳しく書きませんが、渡米後にEADという労働許可証を申請し、審査に通れば合法的に働くことができます。

 

4. H1-Bビザ:アメリカで働くための王道

■概要
アメリカで合法的に収入を得るための王道的ビザです。
多くのIT企業では、優秀な人材を海外から取得するための手段として活用されています。
このため、近年のトランプ政権においては、アメリカ人の雇用を奪う制度として見直しが迫られています。

■難易度
4年制大学卒業レベルの専門的な知識が必要な業務に従事する人向けへのビザなので、それなりに難易度が高いです。
また、年間の発給数に制限があり、毎年応募者数が発給制限を上回るため、抽選に当選しなければいけないという運任せ的な部分があります

■特徴
・専門分野において4年制大学卒業レベルの学歴、または職歴が必要
・就職先での役職(ポジション)も、上の専門分野と同系統のものである必要がある
・発給枠に制限がある。4大卒レベル(学士)枠が65,000、大学院レベル(修士)枠が20,000
・毎年4月の1日に受付が始まり、申し込みが殺到するため1週間後には締め切られる
・枠を超える申し込みがある場合は抽選で絞り込みが行われる
・大学院枠で申請した場合は、最初に65,000枠で抽選され、外れたら再度20,000枠で抽選されるのでかなり有利(2019年度からこの制度にかわりました)
・審査結果が出るのはその年の10月
・10月の時点で、追加書類を求められる場合があり、その場合結果が出るのは翌年1,2月となる
配偶者は働くことができない
・有効期限は最初に3年。1回だけ延長できてプラス3年
転職が可能

■コメント
こちらもワラゴンが通った道です。

H1-Bビザには大変お世話になりました。

しかし、私のようにH1-Bで日系企業に就職する場合は、多くの場合足元を見られます。

それでもJ-1よりはずっと良く、私も年4万ドルからスタートしました(月3,300ドルなので、ずっと良心的です)。

私はOPT(卒業後にもらえるインターン期間)時代にH1-Bを申請し、10月に追加書類を求められたものの翌年の2月に無事H1-Bを取得することができました。

ちなみに、OPTの期間は一年しかないのに、H1-Bの申請にそんなに時間がかかって大丈夫?という疑問があります。

結論を言うと、大丈夫です

申請した時点で既にアメリカに滞在しており、H1-Bを申請中であれば自動的にOPTの期間が延長されるので、結果が出るまでは合法的にアメリカに滞在できることになります。

 

また、H1-Bビザの申請には結構なお金がかかります。

費用は大きく分けて、移民局に必ず払わなければならない諸経費と弁護士費用です。

かなり大雑把な概算で、諸経費は1500ドルから2250ドル(会社の規模による)、弁護士費用の方は2,000ドルから4,000ドルくらいです。

私の場合、諸経費の一部は会社が負担してくれましたが、弁護士費用は全部自腹でしたので、合計2,500ドルくらいでした。

私がお世話になった弁護士さんいわく、「本来は会社が弁護士費用も含めて負担するもの。実際に会社が弁護士費用を負担してくれる場合もあるが、小さな会社ではそうでない場合が多い」とのことでした。

これは学生の場合は結構イタイですね。

 

一方、転職が可能というのは大きな魅力です。

私は実際に1度転職しました。

転職する場合のH1-Bのトランスファー申請となるのですが、申請は4月でなくても構いません。いつでも申請できます。

トランスファーすると、その時点から3年の有効期限でH1-Bが発行されます(ただしH1-Bの最長である6年を超える場合は打ち止め)。

 

H1-Bはトランプ政権では迫害の対象となっているので、少し雲行きは怪しいという見方もあります。

しかし、多くのIT企業にとっては、優秀な外国人を採用するために必要な手段であることは間違いないので、私個人の意見としては、まだまだチャンスはあると見ています。

 

というのも、H1-Bが問題視されている原因を考えてみると、インド系のIT系人材派遣会社が大量にH1-Bを申請し、安い賃金でIT企業に送っている点にあります。

実際に、例えば2018年のH1-Bの応募者数を見てみると、70%以上をインド人が占めています

これに中国人の応募者数を加えると、それだけで85%に達します。

それ以外の国々からの応募者数は、各国1%未満です。

日本人の応募者数に至ってはわずか0.3%です。

参考:移民局のデータ
H-1B Petitions by Gender and Country of Birth

アメリカ政府としても、このような一部の企業による不当なH1-Bビザの申請を取り締まるために、各国の将来有望な応募者がチャンスを失うという事態は避けたいところだと思います。

これは、私の個人的な推測で、何も根拠はないのですが、H1-Bが取りにくくなっているのはインド人だけであって、日本人はまだまだチャンスがあるのでは?と考えています。

 

5. L-1ビザ:日本から駐在する場合はこれ

■概要
一般的に駐在員ビザと呼ばれるものです。

基本的には日本の本社から、アメリカの子会社へ駐在する場合に利用されます(日本の子会社から、アメリカの本社に転勤、というケースもなくはない)。

■難易度
会社が一定の基準を満たしていれば良いので、あなた自身が満たさなければならないハードルはあまりありません

定義上は日本で管理職あるいは、高い特殊技能を持っている必要がありますが、その辺は満たしていなくても弁護士さんがうまくやってくれます。

そういった意味で、ビザ自身の難易度は低いと思います。

というか、それ以前にあなたが現在日本の企業に勤めており、ちょうどアメリカの支社(あるいは本社)に空いている席がなければならないので、自分の力ではどうにもならない難易度が存在します。

■特徴
・駐在員用のビザ
・日本で1年以上働いた実績が必要
1年後にグリーンカードを申請することが可能
配偶者も働くことができる(EAD申請必要)
・有効期限は管理職レベルの場合最長7年、特殊技能保持者の場合は最長5年
・転職できない(特定の条件が揃えば可能ですが、難しいと考えてよい)

■コメント
こちらも、以前勤めていた会社で何人かはこのビザを使って入社してきました。

管理職レベルという条件はありますが、本当に管理職に就いていたかいたかどうかなんて、移民局が確認できるはずがありません。

なので、日本では平社員だったが、書類上は管理職だったことにして、いくらでも申請することができる(はず)です。

実際に、そういう人を何人も見てきました。

最大のメリットはグリーンカードに移行しやすいという事ですね。

以前、★留学か就職か?アメリカ移住を考えているならその方法とメリットデメリットを知ろうという記事でも少し触れましたが、L-1を使ってアメリカに移住できるのであれば、それが最も効率が良いです。

 

6. E-1ビザ:裏技的だが割と取得者が多い

■概要
貿易ビザと呼ばれるものです。

ちょっとピンとこないかもしれません。

多くの場合は日本に本社があり、アメリカに支社があるケースで、アメリカの支社が現地採用する場合に利用します。

L-1は現在日本に住んでいる人をアメリカに送る必要がありますが、こちらはアメリカで採用することができるので、企業にとってメリットがあります。

■難易度
こちらも、あなた自身が達成しなければいけないハードルはあまり高くありません。

せいぜい「面接に合格する」くらいでしょうか。

しかし、採用された会社が、日本に本社を持っている必要がある、という難しさがあります。

なので、アメリカ発の企業へ就職したい、という場合にこのビザは向いていません

■特徴
・事実上、半永久的にアメリカに滞在できる
・管理職レベルの経験が必要(ただし、L-1と同じく書類上は何とでもなる)
グリーンカードへの移行も可能
配偶者も働くことができる(EAD申請必要)
・転職できない

■コメント
ややこしいのが、E-1と並んでE-2というビザもあることです。

E-2ビザというのは、投資家ビザと呼ばれ、アメリカで起業して一定金額を投資した人に発行されるビザです。

アメリカで起業してアメリカ人の従業員を雇って、相当額(規定はないが数万-数十万ドルレベル)の投資を継続して行う必要があるので、E-2ビザは我々のような一般人にはあまり縁がないので忘れてください

 

一方、E-1の方はかなり現実的です。

採用される会社がその条件を満たしていて、そこに採用されれば良いのですから。

実際にアメリカにある日系企業も、E-1を利用して現地の人材を採用しています。

具体的に言うと、H1-BからE-1を狙う、というのは非常に良い戦略です。

ここでも、管理職レベルという条件はありますが、やはり弁護士の腕次第で何とでもなるので、あまり心配する必要はありません。

何といっても、半永久的に更新できるというメリットは凄いですね。

 

ただ、少し注意点もあります。

 

私が少し前に面接を受けた会社で、「グリーンカードのサポートはしてくれますか?前例はありますか?」と聞いたところ、「E-1を発行するからほとんどの人はグリーンカードを取る必要がない」、という回答を得ました。

つまり、会社として怖いのは、グリーンカードを取得されて、他に転職されてしまうことなのです。

このように、ビザサポートという人質を取られ、グリーンカードにも移行できない、というパターンに陥ると、身動きが取れなくなります

そうならないように、面接時にきちんと確認することをおススメします。

 

7. まとめ

いかがでしたでしょうか?

一般人がアメリカに移住するためのビザ5種類をまとめてみました。

自分の経験も踏まえて説明したので、簡単なまとめのつもりがものすごく長くなってしまいました。

実はもうひとつ、Oというビザもあるらしいのですが、私にはあまりなじみのないものなので、紹介できませんでした。

アメリカへの移住を考えているなら、自分が取得できそうなビザはどれかを考えて進路を決めていくのが良いと思います。

以上、この記事が何かのお役に立てれば幸いです。

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