0. はじめに
こんにちは。ワラゴンです。
私は、カリフォルニアのロサンゼルスという街にもうかれこれ10年住んでいるわけですが、今日はこの街での生活について率直な感想を書いてみたいと思います。
まあ、タイトルにもある通り、あまりポジティブな方向の記事にはならないと思いますが、一見華やかに見えるロサンゼルス生活も、実はそんなことないんだよという事もお伝えできればいいなと思います。
アメリカ生活は過酷だと分かっていても、それでもアメリカにチャレンジしてみたいというあなたのために、エンジニアのアメリカ進出・移住を応援するシリーズを始めました。
このシリーズを読んで、本当にアメリカで良いのかどうか、良く検討してみてください!
1. 収入は約5万ドル。これってどのくらいの水準?
日本の水準から比べてみる
タイトルにもある通り、2019年、41歳時点で私の年収は約5万ドルです。
日本のサラリーマンの場合、40歳くらいだと年収約500万が相場と思いますので、可もなく不可もなくという所でしょうか。
アメリカの水準から比べてみる
でも、これってアメリカではどのくらいの位置づけなんでしょう?
ここで、アメリカの平均年収みたいなものを探してみようと思ったのですが、自分が納得して公開できるだけの比較資料を見つけることができませんでした(※1)。
平均年収を比較する際に私が欲しかったデータは以下の条件での個人年収の中央値(世帯年収でもなく、平均値でもない)でしたが、相応する記事 or データをみつけることができなかったので断念しました(教えてえらい人!)
場所:Los Angeles
業種:不問
役職:不問
年齢:40歳くらい
形態:フルタイム(週40h)
性別:男性
ですので、ここでの分析は分かっているだけの信頼できるデータからの類推に留めたいと思います。
さて、前置きが長くなってしまいましたが、話を戻して年収5万ドルというのがカリフォルニアロサンゼルスの40歳くらいの相場から見た場合に、どのくらいに位置しているのか見てみます。
US Censusのデータによると、2017年のデータにおいてロサンゼルスの世帯年収の中央値が約6万ドル(※2)というのがあります。
世帯年収ですので、共働きの家庭も含んで約6万ドルです。
我が家は嫁さんが働いていないので、収入源はワラゴン一人です。
そう考えると、私個人の収入としてはまずまず頑張っている方だが、世帯レベルでみるとちょっと少ないかなーという印象です。
https://www.census.gov/quickfacts/losangelescountycalifornia
身の回りの人と比べてみる
ちなみに、参考までに私の周りの人についても書いてみます。
まず、嫁さんの知り合いの旦那さん。
ヒスパニック系ですが、普通にカリフォルニアで生まれ育って、ごくごく普通の教育レベル。
歳は35歳前後で、職種は不明ですが年収はおよそ5万ドルとのこと。
次に嫁のいとこ。
彼女もカリフォルニアで生まれ育ち、UCLAを卒業して弁護士として活躍しています。
歳は30歳くらいで、はっきりした数字は分かりませんが、推定6万5000ドルくらいはもらっていると思います(すごいですね)。
次に、とあるキリスト教の教会で知り合った47歳の韓国人男性。
彼とは長い付き合いなんですが、非常に優秀な人物です。
学生として渡米し、アメリカで結婚し3人の子供までいるのですが、彼もまたビザを維持するのにずいぶん苦労をしてきた人物です。
彼の職業は医者みたいなものです。
みたいなものというのは、実は私もよく分かっていないからなのですが、看護師と医者の中間のようなもののようです。
なので、専門医ではなく、主に救急の外来患者に対して一次処置を施すような、そんな役職のようです。
彼の年収は、およそ7万 - 7万5000ドルくらいではないかと思います。
すごいですね。
まあ、彼の能力と、これまでの苦労を考えたら妥当なところかもしれませんが。
こうしてみると、年収5万ドルって、本当に普通の凡人レベルなんではないかな、と思います。
2. 家賃、医療保険、養育費に全部持っていかれる
以下の記事で我が家のおおよその生活費を書きましたが、ロサンゼルスで生活する上で何が苦しいって固定費がとんでもない事です(以下参照)。
主な固定費は家賃、医療保険、養育費なのですが、特に納得できないのが家賃ですね。
私が住んでいる今のアパートは月々1,300ドルです(実は昨年家賃が上がったんです、、、涙)。
これでも日本の感覚からすると結構高いのですが、このエリアでは破格の安さなのです。
以前、【2018年】ロサンゼルス トーランスとその周辺での家賃相場を見てみるという記事を書きましたが、この記事の通りトーランス周辺で1ベッドルームを探そうと思ったらかなり安くても1,600ドルは必要になってきます。
(ちなみに、トーランスというのはロサンゼルスダウンタウンから南に30分くらいの日本人が多く住む都市です)
一般に、家賃は可処分所得の3分の1に抑えないと生活が厳しいと言われていますが、この場合手取りで月に4,800ドル必要ということになります。
1人の収入ではなかなかハードルが高いです。
そして、追い打ちをかけるように家賃が毎年上がっていきます。
次に痛いのが医療保険ですかね。
幸いなことに、私の今の会社は家族全員の医療、歯科、ビジョン(眼鏡まわり)をカバーしてくれています。
これが、民間の医療保険に個人で加入するとなると、かなり大雑把に言って月々500ドルくらいは必要になります(※3)。
また、いくらかは会社がカバーしてくれると思うので、実際の家計への負担はこの限りではありません。
そしてこれもまた、追い打ちをかけるように保険料が毎年上がっていきます。
本当に毎年上がるの?上がらない年もあるんじゃないの?と思うかもしれません。
残念ながら毎年上がります。
確実に(以下参照※4)。
http://www.ncsl.org/research/health/health-insurance-premiums.aspx
※英語が分からなくても下の方のグラフを見れば一目で分かります
毎年3-5%くらい上がっていくようです。
そしてもう一つ、養育費もやっかいな問題です。
現在、うちは朝9時から4時まで娘を預けているのですが、月々700ドル支払っています。
特に私の場合は子供に日本語を学んでほしいということもあり、日本語の保育園に通わせているので、少し割高になっているかもしれません。
それでも日本の相場が私立でも2-3万円ということを考えると、ちょっとえげつない金額と言わざるを得ません。
まあ、これに関しては私自身の選択ですし、何より今通っている保育園のサービスは素晴らしいので後悔はしていませんが。
3. ルームシェアか共働きが前提
さて、これだけ固定費が多いと、みんなどうやって生活しているんだろう?と思いますよね。
その答えは見出しにもある通り、みんなルームシェア(※5)か共働きで凌いでいるんです。
一般的には一人で一部屋借りて、トイレやキッチンを他の部屋の人と共同で使用するイメージです。
アメリカのドラマで有名なフレンズでもみんなで共同生活していますね。
フレンズのような海外ドラマの影響もあってか、日本ではルームシェアっておしゃれなイメージを持つ人もいるかもしれませんが、アメリカではみんな「仕方なく」ルームシェアしているんだと思います。
誰だって他人と暮らしたいとは思いません。
単純に家賃を折半しなければ生活できないから、みんなそうしているだけです。
しかし、若いうちはルームシェアでもいいかもしれませんが、家族を持つようになるとそうも言っていられません。
そうなってくると、いやでも自分でアパートを借りなければなりません。
しかし、上でも述べたように夫ひとりの収入でアパートの家賃を賄うのは結構難しいという現実があります。
ですので、やっぱり仕方なく共働きをして生計を立てているのです(もちろん純粋に「働きたい」という理由で働いているお母さんもたくさんいますが。)。
4. 我々移民はそういうわけにはいかない
みんな共働きをして生計を立てていると書きましたが、我々のような移民はそういうわけにはいきません。
まず、最初の難関がビザの壁です。
ご存知の通り、私たちのような移民がアメリカで合法的に収入を得るには労働ビザを取得する必要があります。
しかし、アメリカでの労働ビザの筆頭であるH1-Bビザの場合、その配偶者は収入を得ることができません。
なので、配偶者の方もH1-Bのスポンサーになってくれる就職先を見つける必要があるのですが、これもパートのポジション(役職)ではそう簡単には行きません。
H1-Bは本来、大学卒業レベルの高い知識レベルを必要とする役職に従事する人間に発行されるものであるため、通常パートさんに対してH1-Bをサポートするような企業はありません。
仮に、配偶者の方もグリーンカードなどで既に働ける環境にあったとしてもまだまだ壁があります。
うちの場合に当てはまるのですが、うちは夫婦ともにグリーンカード持ちなので、ビザに頼ることなく合法的に収入を得ることができます。
なので共働きへの障壁がかなり少ないように見えます。
ところが、嫁がパート先を探そうと思っても、なかなか見つからないのです。
理由は子供です。
今、娘を預けている保育園では年に4回くらい、1週間程度の休園日があります。
娘の面倒を見てくれる人がいればいいですが、我々のような移民第一世代の場合はそんなバックアップとなるような人はいません。
そのため、その間はパートを休まなければならないのですが、そんなことを面接時に話すと、大抵の場合は断られます。
まあ、雇用主からすれば当然ですね。
もっと都合の良いパートなんていくらでも探せるわけですから。
このように、一般的なアメリカ人の家庭と違い、我々のような移民の家族においては共働きをすることですら難しいという状況が待っていまるのです。
5. まとめ
いかがでしたでしょうか。
年収5万ドルあれば、それなりの生活ができそうに見えますが、ここロサンゼルスにおいては全くそんなことはありません。
特にグリーンカードがなく、幼い子供がいるような環境では生活は非常に困難なものになるでしょう。
アメリカ、特にカリフォルニアでの生活は、楽しい部分もいっぱいあります。
カリフォルニアへの移住を目指している人も多いかもしれませんが、こんな現実があるということを知ってもらえたら幸いです。